北の国の商店街。普段住んでいる場所から見れば、北の果てとも言える土地の、何の変哲もない普通の通りを歩きます。霧のような雨が降っていてカメラのレンズが濡れると思いつつもその雰囲気を楽しみつつ、先に進みます。
車で通ったとしてもどこにでもあるアーケードだと通り過ぎてしまうことでしょう。でも乗り物を降りて歩いてみるからこそ興味深く、思考を巡らさせる面白さが散在しているのです。
大通りから伸びる路地裏。どこの誰かがやってるかもわからないスナックや居酒屋が並んでおります。X軸Y軸、縦横縦横無尽に道が通り、そのすべてに人々の生活が存在してるのだと実感します。
立体のリボンが可愛らしいですね。店の象徴である看板はそれぞれの個性が出ていてじっくり見てみると面白いのです。
看板に限らず、書かれている文字にも。フォントはそれぞれの店の矜持でもある気がしてなりません。
閉店した店とて、蔦に絡まれる建物は趣があります。景観が悪いといって撤去されてしまうのが惜しいくらいです。
歩き疲れてどこかの喫茶店にでも入ろうかと考えていました。古風な商店街にはお似合いの喫茶店が何件も並んでいます。
どれも互いに引けを取らぬ店構え。チェーン店では決してこの味は出せません。
通りの一番端っこに位置するカフェで一休みすることにしました。
理由は店の文字がかわいかったから。それ以上でもそれ以下でもありません。角が立ちつつもくるんとしたデザインに惹かれました。
中は薄暗くも雰囲気は明るく、ほのかに紫煙が香る、いかにも田舎町の喫茶店という感じ。一階は中年の女性たちがおしゃべりをしていたので二階に行きました。
窓から差し込む光の何と柔らかいことか。テントや植物も手伝っています。
初めて来た土地でも落ち着ける喫茶店というのはそれだけでも安心できる材料です。
足の疲れを癒し、外に出ました。さっきまで降っていた小雨は止んでいました。
突如現れるビルの入り口。
チェーン店でないファミレスなんて初めて見ました。閉業しているようですが。
思えば、ファミリーレストランの語源を思えばチェーン店である必要はないのです。いつのまにかその名がガストやサイゼの専売特許であるかのように我々が思っているだけだと気づかされます。
あとで勉強になる、とこういう看板を撮っていても大して見もしないでデータとして保管してしまうのは私だけでしょうか?興味がある方は文字まで読んでください。歩いている当時の私は確かにへー、と言っているはずなのですがなにぶん時間が経っているもので、すっかり忘れてしまっています。
商店街一の交差点。四隅に建物が並ぶ風景は中心といった感じですがその活気はお世辞にもあるとは言えません。日本全国こんな商店街ばかりなのでしょう。
ふと見つけた地下へと続く階段。店がありそうでもないし、かといって使われていない階段というわけでもなさそう。何とも不思議なものです。そんな未知なる発見が日々寂れたといわれる商店街を歩かせる動機となるのです。階段の下は、是非あなたが見てきてください。
普段歩く場所だけでは見つからない発見やお店がたくさんありました。自分の行動範囲の軸の端を見てみると面白いことがいっぱいあるのです。