彩玉県の山奥にひっそりと佇む鉱泉に行きました。鉱泉の名は「千鹿谷鉱泉」。
聞けばほどなく閉業してしまうとのこと。こういう古い温泉旅館は大好きなので何とか閉まってしまう前に行きたかったのです。
訪問した日は八月下旬。カンカン照りの日差しの中、汗だくでやってきた人々を心地良い温度で癒す温泉でした。
脱衣所には年季の入ったカレンダー。明後日で閉業してしまうのにちゃんと今月のページまでめくられています。
一息ついて、館内を見せて頂きました。ここは玄関口。田舎のおばあちゃんちのような匂いに包まれています。
廊下は暗く床は軋み、扉はなんとも立て付けが悪い。でもこの古さがいいのです。多くの人の足の裏で鞣された滑らかな床板を踏みしめるのがとても心地よくあります。
階段を上がると数客室。でも埃だらけで蜘蛛の巣も張っている。もう旅館としては営業してなかったのでしょう。
昔は秩父七湯というものがあり、この地域の特定の七つの温泉がまとめて選定されていたみたい。でもダムに沈んだり、閉湯したり...この千鹿谷鉱泉が閉業することで残りは二湯になってしまいました。
仕方のないこととはいえ、こんなにも古き良き温泉旅館が無くなってしまうのは残念。
山奥にこんなにも素敵な鉱泉があったことを記憶にとどめていきたいものです。