2023-01-01から1年間の記事一覧

石の意思と空廃墟。

さくさくと冬枯れの落ち葉を雪を漕ぐように歩く。道なき道の斜面には乾いた木の葉で覆われ、登るときは靴に絡みつき、下るときにはソールを滑らせてきます。どうしてそんなとこを歩くことになったのか、写真を撮っていたのにもかかわらずあまり覚えておりま…

昼なお暗けれどアーケード。

お店に入らなくても、黒猫のように歩くだけでも楽しめるアーケード散策。あまり人に話しても魅力が伝わらない隠れた魅力があります。 とはいうものの、派手な看板が並ぶが地元密着の商店街や扉の奥から歌声や紫煙が漂うバー通りは場違いなような気がして歩き…

廃校の褪せゆく二色にもう一色。

あれほど元気だった植物たちが段々と色彩と体積を減らし、葉を落としていく秋。そんな草木を纏うちょっとした小高い丘の上に小さな小さな廃校があります。 それなりに広い校庭と年季を思わせる壁面の板と、整然と並んだ窓ガラス。昭和の時代を生きた校舎とい…

迷い惑わせ夏神社。

夏真っ盛りの8月中旬のこと。どこまでも続く青い青い田んぼの中にひときわ目立つ赤い鳥居がてん、てん、てん、と立っています。 正面に立ってみると参道が続く二つの鳥居と、すぐ近くに手水が据えられているものが一つ。まずは手を清めることとします。 残り…

一献が甘口辛口為す文化。

一口にお酒といっても好みは様々。まずはビール、やっぱりワイン、南の人間ならば焼酎…人によっては目がない物やちょっと苦手なお酒もあることでしょう(私も焼酎が飲めません)。その中でもお米から作られる日本酒というものは大好きな人と苦手な人の差が激…

暗闇の宙に浮かぶ、夢の島。

人と遊びに行くとなり、水族館と動物園どちらがいいと聞かれたらあなたは何と答えますか?異性とロマンチックな雰囲気を過ごすなら水族館もいいですし、家族で普段見られない動物と触れ合える動物園も捨てがたいですね。 ですが第三の選択肢として植物園があ…

鉄路と道路の渚にて。

初夏の六月。週末は天気が良いという予報が出ていたので趣向を変えて電車に乗って旅をしてみることにしました。 いつもは二輪車に乗って目的地を決め、それらを周りきったら帰るという、ある意味窮屈な旅をしています。でも今回はどこに行くのか知らないあい…

寡黙な鯨とお洒落な首長竜の街。

遠い遠い海の街。主要都市に旅行に行ってもどうにも行くところが無くて、ちょっと離れたこの地域にやってきました。駅の改札から歩けるペデストリアンデッキからはなんとも現実味のない風景が一望できます。 軍港の街だったあって、今でも灰色のお船が沢山泊…

征く人咲く花、枯れ廃村。

舗装されているのだかされていないのだかよくわからない道を延々数キロ。住む人のいなくなった廃村を訪れていました。集落のしょっぱなから崩れかけた廃屋が建っていてここが廃村であるということを思い知らされます。 手入れをほどこせば修繕をすればまだま…

倍々旅路でバイバイ・モラトリアム。

いつも一人旅をしていると時たま誰かと行く旅行はどんなものだったっけ?と忘れてしまうことがあります。修学旅行や家族旅行で経験しているはずなのに、一人旅の時の自由な時間に肩まで浸かっているとその喧騒や楽しさをとんと覚えていないのです。 そんな時…

歩みは進めど、筆は進まず。

三月上旬までにどうしても完成させなければならない文章がありまして。文豪のような気分になれると聞き、ここで書き上げるぞという気持ちと、もうどうにでもなーれという気持ちとの半々にこの地にやってきました。 ここはかつての文人たちが泊まった愛したと…

傾く日差しと鉄の箱。

一口に廃れるモノといっても種類は様々で、廃墟、廃屋、廃校、廃醫院…かつての用途において細分化が為されているようです。その分類に則るならば廃線というものは私の最も好きな「廃」の一つであります。 山の上につながるケーブルカーが使われなくなった今…

朽ちてなお見らるる廃醫院。

棚の奥にしまわれた新品の手帳がカビていく様より使い込まれ、革が鞣された手帳の方が味があるのと同様に、ただの廃屋よりも何かしらの仕事をしていた廃墟の方が魅力的であります。 ここはかつての産婦人科医院。今は朽ちて荒らされるに任せ、崩壊の一途を辿…