故きを温ねて新世界を知る。

いつものように知らない街を散歩していた時のことです。なんともそそる看板を掲げている飲み屋通りを見つけました。

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モダンなデザインの割には奥へ進む道はなんだか怪しげな感じ。誘われたら断らないのが私の信条であります。

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繁茂する植物、そういうアートなのかただの落書きなのか区別のつかないペイント、やってるのかどうかわからないスナックが続いています。この時点で路地裏の魅力としては十分で万が一にも引き返すことはありません。

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古びた建物。改修のための重機が入る隙間もないし、これからもすることはないのでしょう。

 

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肩を横にして通りを進む自分をふと、泥棒だと思われてしまうかもと考えていました。

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何とも風変わりな三階建ての建物。民家のようで食堂とも書かれているし、旅館のようでもある。

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その正体は廃墟となったお寿司屋さんなのでした。だからと言ってその構造に納得がいくわけではないのですが。

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謎ポンプ。

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調べればここは元赤線区域だったのだそう。右へ左へ折れ曲がる道の構造を思い出してしみじみと納得しました。

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とは言え、最近は様々な人が関わるプロジェクトとしてこの近辺の飲食店を盛り上げようとしている運動があるっぽいです。この古びたとおりに似つかわしくないあのペカペカの看板はそういうこと。確かに中には真新しい店構えのバーや居酒屋がチラホラしています。

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通りの最後にはいかにも風俗店らしい廃墟ビル。秋のうろこ雲がきれいでした。

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古いものが古いまま朽ちていく様が好きな者としては、新改装とかリノベーションなどといった経済活動として至極当然の言葉を何とも言えない気分で眺めるのです。

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でもきっとそれは私が真っ昼間に素面で歩いていたからそう思うのでしょう。夕暮れ時にどこかの店で一杯呑んだ後になら… 寂れた飲み屋横丁の中で酔わせてくれる居酒屋をさも新世界のように思えるに違いありません。