無人にて放れば廃る清水哉。

ここは山奥のお寺。国道に案内標識はあれど離島ゆえのアクセスの悪さからか観光客などあまり見当たりません。静謐なる苔むした階段を上っていきます。

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大迫力の杉の参道。長野の戸隠神社にどこか似ています。見上げれば齢100が精々の人間がいかにちっぽけか思い知らされます。

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参道を上った左手にある本殿。立派な建物とは裏腹に人の気配がなく、ひっそりとしています。

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(たぶん)寺務所。お寺なのに入口が鳥居を模しているような装飾なのが面白い。

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あまり手入れはされていないみたい。

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既に鐘は取り払われている。

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奥の懸造。緑に埋もれてわかりにくいですがそこそこ高い建造物ですよ。手前には池があって…濁った水が溜まっていました。

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京都の清水の舞台に行ったことはありますか?あれとは別次元の清水の舞台です。あたりに人の影は無く、緑に包まれ古びた木造の社寺の雰囲気を独占している。その心地はあの観光客にまみれた喧騒の社殿では到底味わえない景色です。

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遠方に自分が今しがた登ってきた石段が見えます。この場に立てば、眼下が見えるように設計されているみたい。グーグルマップやVRなどでは到底味わえない、自分の足でその場に赴いてこそ、その建築の細部の工夫にはっとさせられるのです。

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振り返れば懸造の社殿。古びていても豪奢なのがひしひしと伝わります。

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カビに湿気にまみれなんとも無残な姿です。が、改修すれば改修したでペカペカのペンキに塗られた木材を「風情がない」と言ったであろう自分が想像できます。風化するに任せるその姿が良いのです。

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何とも見事な宮彫り。歴史的価値があるのか、高い技術の賜物なのかどうかは素人には分かりませんが...この意匠は見事だと感じた感情は本物です。

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この素晴らしく豪奢な社殿が朽ちていくのをそのままにしておいて本当に良いのか。自分にできることは何もないとその場を去りました。あなたがもし訪れることがあれば...このお寺のその後を是非とも教えて頂ければ幸いです。

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